ぎるばーとのノート

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変換 - 確率分布チートシート

自サイト(HTML版)からの転載です。



変換

★は変換の結果も同じ種類の分布となることを表す。

正規分布

  •  X \text{N}(\mu,\ \sigma^2)にしたがうとき、 \frac{X - \mu}{\sigma} \text{N}(0,\ 1)にしたがう。〔標準化★〕
  •  X \text{N}(\mu,\ \sigma^2)にしたがうとき、 aを実数、 bを正の実数として、 a + bX \text{N}(a + b\mu,\ b^2\,\sigma^2)にしたがう。〔位置スケール変換★〕
  •  X \text{N}(\mu_X,\ {\sigma_X}^2)に、 Y \text{N}(\mu_Y,\ {\sigma_Y}^2)に独立にしたがうとき、
    •  X + Y \text{N}(\mu_X + \mu_Y,\ {\sigma_X}^2 + {\sigma_Y}^2)にしたがう。〔加法★〕
    •  X - Y \text{N}(\mu_X - \mu_Y,\ {\sigma_X}^2 + {\sigma_Y}^2)にしたがう。〔減法★〕
  •  X_1, \ldots, X_nがそれぞれ \text{N}(\mu_i,\ {\sigma_i}^2)に独立にしたがうとき、 \sum_i X_i \text{N}(\mu_1 + \cdots + \mu_n,\ {\sigma_1}^2 + \cdots + {\sigma_n}^2)にしたがう。〔総和★〕
  •  X \text{N}(\mu,\ \sigma^2)にしたがうとき、 e^X \text{Lognorm}(\mu,\ \sigma^2)にしたがう。〔指数変換〕
  • 標本平均は \overline{X} = \frac{1}{n}\sum_i X_iで定義される。 X_1, \ldots, X_nが同一の \text{N}(\mu,\ \sigma^2)に独立にしたがうとき、 \overline{X} \text{N}\!\left(\mu,\ \frac{\sigma^2}{n}\right)にしたがう。〔標本平均★〕
  •  X_1, \ldots, X_nが同一の \text{N}(\mu,\ \sigma^2)に独立にしたがうとき、 X_i - \overline{X} \text{N}\!\left(0,\ \frac{n - 1}{n}\,\sigma^2\right)にしたがう。〔残差★〕証明
  • 不偏標本分散は S^2 = \frac{1}{n - 1}\sum_i\,(X_i - \overline{X})^2で定義される。 X_1, \ldots, X_nが同一の \text{N}(\mu,\ \sigma^2)に独立にしたがうとき、 \nu = n - 1とすると、 \frac{\nu S^2}{\sigma^2} \chi^2(\nu)にしたがう。さらに、 \overline{X} S^2は独立である。〔不偏標本分散〕
     Z = \frac{\overline{X} - \mu}{\sqrt{\sigma^2/n}} \text{N}(0,\ 1)に、 \frac{\nu S^2}{\sigma^2} \chi^2(\nu)に独立にしたがうことから、 \frac{Z}{\sqrt{S^2/\sigma^2}} = \frac{\overline{X} - \mu}{\sqrt{S^2/n}} t(\nu)にしたがう。§カイ2乗分布#Studentのtも参照。

標準正規分布

  •  X, Y \text{N}(0,\ 1)に独立にしたがうとき、 \frac{X}{Y} \text{Cauchy}(0,\ 1)にしたがう。〔比〕
  •  X \text{N}(0,\ 1)にしたがうとき、 X^2 \chi^2(1)にしたがう。〔平方変換〕
  •  X_1, \ldots, X_n \text{N}(0,\ 1)に独立にしたがうとき、 \sum_i {X_i}^2 \chi^2(\nu = n)にしたがう。〔平方和〕

対数正規分布

  •  X \text{Lognorm}(\mu,\ \sigma^2)にしたがうとき、 bを正の実数として、 bX \text{Lognorm}(\log b + \mu,\ \sigma^2)にしたがう。〔スケール変換★〕
  •  X \text{Lognorm}(\mu_X,\ {\sigma_X}^2)に、 Y \text{Lognorm}(\mu_Y,\ {\sigma_Y}^2)に独立にしたがうとき、
    •  XY \text{Lognorm}(\mu_X + \mu_Y,\ {\sigma_X}^2 + {\sigma_Y}^2)にしたがう。〔乗法★〕
    •  \frac{X}{Y} \text{Lognorm}(\mu_X - \mu_Y,\ {\sigma_X}^2 + {\sigma_Y}^2)にしたがう。〔除法★〕
  •  X_1, \ldots, X_nがそれぞれ \text{Lognorm}(\mu_i,\ {\sigma_i}^2)に独立にしたがうとき、 \prod_i X_i \text{Lognorm}(\mu_1 + \cdots + \mu_n,\ {\sigma_1}^2 + \cdots + {\sigma_n}^2)にしたがう。〔総乗★〕
  •  X \text{Lognorm}(\mu,\ \sigma^2)にしたがうとき、 cを0でない実数として、 X^c \text{Lognorm}(c\mu,\ c^2\,\sigma^2)にしたがう。〔べき変換★〕
  •  X \text{Lognorm}(\mu,\ \sigma^2)にしたがうとき、 \log X \text{N}(\mu,\ \sigma^2)にしたがう。〔対数変換〕

カイ2乗分布

  •  X_1, \ldots, X_nがそれぞれ \chi^2(\nu_i)に独立にしたがうとき、 \sum_i X_i \chi^2(\nu_1 + \cdots + \nu_n)にしたがう。極限の場合§カイ2乗分布#正規近似も参照。〔総和★〕
  •  Z \text{N}(0,\ 1)に、 X \chi^2(\nu_X)に独立にしたがうとき、 \frac{Z}{\sqrt{X/\nu_X}} t(\nu_X)にしたがう。〔Studentのt〕
  •  X \chi^2(\nu_X)に、 Y \chi^2(\nu_Y)に独立にしたがうとき、 \frac{X/\nu_X}{Y/\nu_Y} F(\nu_X,\ \nu_Y)にしたがう。〔F比〕

t分布

  •  X t(\nu)にしたがうとき、 X^2 F(1,\ \nu)にしたがう。〔平方変換〕

F分布

  •  X F(\nu_1,\ \nu_2)にしたがうとき、 \frac{1}{X} F(\nu_2,\ \nu_1)にしたがう。〔逆数変換★〕

指数分布

  •  X \text{Exp}(\lambda)にしたがうとき、 \lambda X \text{Exp}(1)にしたがう。〔標準化★〕
  •  X \text{Exp}(\lambda)にしたがうとき、 bを正の実数として、 bX \text{Exp}\!\left(\frac{\lambda}{b}\right)にしたがう。〔スケール変換★〕
  •  X_1, \ldots, X_nが同一の \text{Exp}(\lambda)に独立にしたがうとき、 \sum_i X_i \text{Gamma}(\alpha = n,\ \beta = \lambda)にしたがう。極限の場合§ガンマ分布#正規近似も参照。〔総和〕
  •  X, Yが同一の \text{Exp}(\lambda)に独立にしたがうとき、 \frac{X}{X + Y} \text{U}(0,\ 1)にしたがう。〔割合〕
  •  X_1, \ldots, X_nが同一の \text{Exp}(\lambda)に独立にしたがうとき、 W = \sum_i X_iとすると、 \left(\frac{X_1}{W}, \ldots, \frac{X_n}{W}\right) \text{Dirichlet}(\boldsymbol{\alpha} = (1, \ldots, 1))にしたがう。〔構成比〕
  •  X \text{Exp}(\lambda)にしたがうとき、 e^X \text{Pareto}(1,\ \alpha = \lambda)にしたがう。また、 e^{-X} \text{Beta}(\alpha = \lambda,\ 1)にしたがう。〔指数変換〕
  •  X_1, \ldots, X_nがそれぞれ \text{Exp}(\lambda_i)に独立にしたがうとき、 \min\{X_1, \ldots, X_n\} \text{Exp}(\lambda_1 + \cdots + \lambda_n)にしたがう。また、 X_iが最小となる確率は \frac{\lambda_i}{\lambda_1 + \cdots + \lambda_n}である。〔最小★〕1
  •  X \text{Exp}(\lambda)にしたがうとき、 \lfloor X\rfloor \text{Geom}(p = 1 - e^{-\lambda})にしたがう。また、 \lceil X\rceil \text{Geom}_\text{[number-of-trials]}(p = 1 - e^{-\lambda})にしたがう。〔離散化〕

標準指数分布

  •  X \text{Exp}(1)に、 U \text{U}(0,\ 2\pi)に独立にしたがうとき、 \sqrt{2X} \cos U \sqrt{2X} \sin U \text{N}(0,\ 1)にしたがう。さらに、 \sqrt{2X} \cos U \sqrt{2X} \sin Uは独立である。〔Box–Muller変換〕2
    Box–Muller変換は正規乱数の作り方を示している。[0, 1)上の一様乱数 U_1, U_2を、 Z_1 = \sqrt{-2\log(1 - U_1)}\cos(2\pi U_2),\ Z_2 = \sqrt{-2\log(1 - U_1)}\sin(2\pi U_2)のように変換して標準正規乱数を二つ得ることができる。§標準一様分布#逆関数サンプリングも参照。

ガンマ分布

  •  X \text{Gamma}(\alpha,\ \beta)にしたがうとき、 bを正の実数として、 bX \text{Gamma}\!\left(\alpha,\ \frac{\beta}{b}\right)にしたがう。〔スケール変換★〕
  •  X_1, \ldots, X_nがそれぞれ \text{Gamma}(\alpha_i,\ \beta)に独立にしたがうとき、 \sum_i X_i \text{Gamma}(\alpha_1 + \cdots + \alpha_n,\ \beta)にしたがう。極限の場合§ガンマ分布#正規近似も参照。〔総和★〕
  •  X \text{Gamma}(\alpha_X,\ \beta)に、 Y \text{Gamma}(\alpha_Y,\ \beta)に独立にしたがうとき、 \frac{X}{X + Y} \text{Beta}(\alpha_X,\ \alpha_Y)にしたがう。〔割合〕
  •  X_1, \ldots, X_nがそれぞれ \text{Gamma}(\alpha_i,\ \beta)に独立にしたがうとき、 W = \sum_i X_iとすると、 \left(\frac{X_1}{W}, \ldots, \frac{X_n}{W}\right) \text{Dirichlet}(\boldsymbol{\alpha} = (\alpha_1, \ldots, \alpha_n))にしたがう。〔構成比〕
  •  X \text{Gamma}(\alpha_1 + \alpha_2,\ \beta)に、 Y \text{Beta}(\alpha_1,\ \alpha_2)に独立にしたがうとき、 XY \text{Gamma}(\alpha_1,\ \beta)にしたがう。また、 X\,(1 - Y) \text{Gamma}(\alpha_2,\ \beta)にしたがう。§ベータ分布#相補変換も参照。〔部分★〕証明

一様分布

  •  X \text{U}(a,\ b)にしたがうとき、 \frac{X - a}{b - a} \text{U}(0,\ 1)にしたがう。〔標準化★〕
  •  X \text{U}(a,\ b)にしたがうとき、 tを実数、 sを正の実数として、 t + sX \text{U}(t + sa,\ t + sb)にしたがう。〔位置スケール変換★〕
  •  X \text{U}(a \in \mathbf{Z},\ b \in \mathbf{Z})にしたがうとき、 \lfloor X\rfloor \text{DiscreteUnif}(a,\ b - 1)にしたがう。また、 \lceil X\rceil \text{DiscreteUnif}(a + 1,\ b)にしたがう。※ \text{DiscreteUnif}(a,\ b)は離散一様分布を表す。〔離散化〕

標準一様分布

  •  X \text{U}(0,\ 1)にしたがうとき、 1 - X \text{U}(0,\ 1)にしたがう。〔相補変換★〕
    この変換は分布を保つ。プログラミング言語の提供する[0, 1)上の乱数を(0, 1]上の乱数に変えることができる。
  •  X \text{U}(0,\ 1)にしたがうとき、 cを正の実数として、 X^c \text{Beta}\!\left(\alpha = \frac{1}{c},\ 1\right)にしたがう。〔正のべき変換〕
  •  X \text{U}(0,\ 1)にしたがうとき、 cを正の実数として、 X^{-c} \text{Pareto}\!\left(1,\ \alpha = \frac{1}{c}\right)にしたがう。〔負のべき変換〕
  •  X \text{U}(0,\ 1)にしたがうとき、 \log Xは符号を変えた \text{Exp}(1)にしたがう。〔対数変換〕
  •  X_1, \ldots, X_n \text{U}(0,\ 1)に独立にしたがうとき、
    •  \min\{X_1, \ldots, X_n\} \text{Beta}(1,\ \beta = n)にしたがう。〔最小〕
    •  \max\{X_1, \ldots, X_n\} \text{Beta}(\alpha = n,\ 1)にしたがう。〔最大〕
  •  X_1, \ldots, X_n \text{U}(0,\ 1)に独立にしたがうとき、 X_{(i)}を小さい方から i番目の順序統計量とすると、 X_{(i)} \text{Beta}(\alpha = i,\ \beta = n + 1 - i)にしたがう。また、 X_{(j)} - X_{(i)}(ただし、 i \lt j)は \text{Beta}(\alpha = j - i,\ \beta = n + 1 - (j - i))にしたがう。〔順序統計量〕3
  • 確率分布の累積分布関数 F_X(x)が連続かつ狭義単調ならば逆関数が定義される。これを分位点関数といい、 {F_X}^{-1}(p)で表す。 X \text{U}(0,\ 1)にしたがうとき、 {F_X}^{-1}(X)は対応する F_X(x)を累積分布関数にもつ確率分布にしたがう。このことを用いて目的の分布の乱数を一様乱数から変換して得ることができる。〔逆関数サンプリング〕4
    逆関数サンプリングは率直なのでトラブルが起こりにくいが、計算に特殊な関数を要する場合がある。分位点関数の例を以下に挙げる。
正規分布
 {F_X}^{-1}(p) = \mu + \sigma\sqrt{2}\,\text{erfinv}(2p - 1)
指数分布
 {F_X}^{-1}(p) = \frac{-\log(1 - p)}{\lambda}
コーシー分布
 {F_X}^{-1}(p) = x_0 + \gamma\tan\!\left(\pi\left(p - \frac{1}{2}\right)\right)
パレート分布
 {F_X}^{-1}(p) = x_\mathrm{m}\,(1 - p)^{-\frac{1}{\alpha}}

ベータ分布

  •  X \text{Beta}(\alpha,\ \beta)にしたがうとき、 1 - X \text{Beta}(\beta,\ \alpha)にしたがう。〔相補変換★〕

コーシー分布

  •  X \text{Cauchy}(x_0,\ \gamma)にしたがうとき、 \frac{X - x_0}{\gamma} \text{Cauchy}(0,\ 1)にしたがう。〔標準化★〕
  •  X \text{Cauchy}(x_0,\ \gamma)にしたがうとき、 aを実数、 bを正の実数として、 a + bX \text{Cauchy}(a + bx_0,\ bγ)にしたがう。〔位置スケール変換★〕
  •  X \text{Cauchy}(x_0,\ \gamma_X)に、 Y \text{Cauchy}(y_0,\ \gamma_Y)に独立にしたがうとき、
    •  X + Y \text{Cauchy}(x_0 + y_0,\ \gamma_X + \gamma_Y)にしたがう。〔加法★〕
    •  X - Y \text{Cauchy}(x_0 - y_0,\ \gamma_X + \gamma_Y)にしたがう。〔減法★〕
  •  X_1, \ldots, X_nがそれぞれ \text{Cauchy}(x_i,\ \gamma_i)に独立にしたがうとき、 \sum_i X_i \text{Cauchy}(x_1 + \cdots + x_n,\ \gamma_1 + \cdots + \gamma_n)にしたがう。〔総和★〕
  •  X \text{Cauchy}(x_0,\ \gamma)にしたがうとき、 \frac{1}{X} \text{Cauchy}\!\left(\frac{x_0}{{x_0}^2 + γ^2},\ \frac{γ}{{x_0}^2 + γ^2}\right)にしたがう。〔逆数変換★〕

パレート分布

  •  X \text{Pareto}(x_\mathrm{m},\ \alpha)にしたがうとき、 bを正の実数として、 bX \text{Pareto}(bx_\mathrm{m},\ \alpha)にしたがう。〔スケール変換★〕
  •  X \text{Pareto}(x_\mathrm{m},\ \alpha)にしたがうとき、 cを正の実数として、 X^c \text{Pareto}\!\left({x_\mathrm{m}}^c,\ \frac{\alpha}{c}\right)にしたがう。また、 \left(\frac{X}{x_\mathrm{m}}\right)^c \text{Pareto}\!\left(1,\ \frac{\alpha}{c}\right)にしたがう。〔正のべき変換★〕
  •  X \text{Pareto}(x_\mathrm{m},\ \alpha)にしたがうとき、 cを正の実数として、 \left(\frac{X}{x_\mathrm{m}}\right)^{-c} \text{Beta}\!\left(\frac{\alpha}{c},\ 1\right)にしたがう。〔負のべき変換〕
  •  X \text{Pareto}(x_\mathrm{m},\ \alpha)にしたがうとき、 \log\!\left(\frac{X}{x_\mathrm{m}}\right) \text{Exp}(\lambda = \alpha)にしたがう。〔対数変換〕
  •  X_1, \ldots, X_nがそれぞれ \text{Pareto}(x_\mathrm{m},\ \alpha_i)に独立にしたがうとき、 \min\{X_1, \ldots, X_n\} \text{Pareto}(x_\mathrm{m},\ \alpha_1 + \cdots + \alpha_n)にしたがう。〔最小★〕

二項分布

  •  X \text{B}(n,\ p)にしたがうとき、 n - X \text{B}(n,\ 1 - p)にしたがう。〔相補変換★〕
  •  X_1, \ldots, X_nがそれぞれ \text{B}(n_i,\ p)に独立にしたがうとき、 \sum_i X_i \text{B}(n_1 + \cdots + n_n,\ p)にしたがう。極限の場合§二項分布#正規近似も参照。〔総和★〕

ベルヌーイ分布

  •  X \text{Bernoulli}(p)にしたがうとき、 1 - X \text{Bernoulli}(1 - p)にしたがう。〔相補変換★〕
  •  X_1, \ldots, X_nが同一の \text{Bernoulli}(p)に独立にしたがうとき、 \sum_i X_i \text{B}(n,\ p)にしたがう。極限の場合§二項分布#正規近似も参照。〔総和〕
  •  X_1, \ldots, X_nがそれぞれ \text{Bernoulli}(p_i)に独立にしたがうとき、 \prod_i X_i \text{Bernoulli}(p_1 \cdots p_n)にしたがう。〔総乗★〕
  •  X_1, \ldots, X_nがそれぞれ \text{Bernoulli}(p_i)に独立にしたがうとき、
    •  \min\{X_1, \ldots, X_n\} \text{Bernoulli}(p_1 \cdots p_n)にしたがう。〔最小★〕
    •  \max\{X_1, \ldots, X_n\} \text{Bernoulli}(1 - (1 - p_1) \cdots (1 - p_n))にしたがう。〔最大★〕
  •  X_1, \ldots, X_nがそれぞれ \text{Bernoulli}(p_i)に独立にしたがうとき、 X_1 \oplus \cdots \oplus X_n \text{Bernoulli}\left(p = \frac{1 - (1 - 2p_1) \cdots (1 - 2p_n)}{2}\right)にしたがう。※ X \oplus Y排他的論理和を表す。〔パリティ★〕証明

ポアソン分布

負の二項分布

幾何分布

超幾何分布

  •  X \text{Hyper}(n,\ N,\ K)にしたがうとき、 n - X \text{Hyper}(n,\ N,\ N - K)にしたがう。また、 K - X \text{Hyper}(N - n,\ N,\ K)にしたがう。〔相補変換★〕解説

多変量正規分布

  •  \boldsymbol{X} \text{N}(\boldsymbol{\mu},\ \boldsymbol{\Sigma})にしたがうとき、 \boldsymbol{a} \mathbf{R}^lベクトル( l m以下)、 \mathbf{B} \mathbf{R}^{(l, m)}行列(フルランク)として、 \boldsymbol{a} + \mathbf{B}\boldsymbol{X}^\mathrm{T} \text{N}(\boldsymbol{a} + \mathbf{B}\boldsymbol{\mu}^\mathrm{T},\ \mathbf{B}\boldsymbol{\Sigma}\mathbf{B}^\mathrm{T})にしたがう。〔アフィン変換★〕5
    標準正規乱数の組をアフィン変換することで、 \text{N}(\boldsymbol{\mu} = \boldsymbol{a},\ \boldsymbol{\Sigma} = \mathbf{B}\mathbf{B}^\mathrm{T})にしたがう乱数を得ることができる。なお、 \boldsymbol{\Sigma} = \mathbf{B}\mathbf{B}^\mathrm{T}を満たすような \mathbf{B}を求める方法には、Cholesky法、固有値分解法などがある。
  •  \boldsymbol{X} \text{N}(\boldsymbol{\mu}_\boldsymbol{X},\ \boldsymbol{\Sigma}_\boldsymbol{X})に、 \boldsymbol{Y} \text{N}(\boldsymbol{\mu}_\boldsymbol{Y},\ \boldsymbol{\Sigma}_\boldsymbol{Y})に独立にしたがうとき、
    •  \boldsymbol{X} + \boldsymbol{Y} \text{N}(\boldsymbol{\mu}_\boldsymbol{X} + \boldsymbol{\mu}_\boldsymbol{Y},\ \boldsymbol{\Sigma}_\boldsymbol{X} + \boldsymbol{\Sigma}_\boldsymbol{Y})にしたがう。〔加法★〕
    •  \boldsymbol{X} - \boldsymbol{Y} \text{N}(\boldsymbol{\mu}_\boldsymbol{X} - \boldsymbol{\mu}_\boldsymbol{Y},\ \boldsymbol{\Sigma}_\boldsymbol{X} + \boldsymbol{\Sigma}_\boldsymbol{Y})にしたがう。〔減法★〕
  •  \boldsymbol{X}_1, \ldots, \boldsymbol{X}_nがそれぞれ \text{N}(\boldsymbol{\mu}_i,\ \boldsymbol{\Sigma}_i)に独立にしたがうとき、 \sum_i \boldsymbol{X}_i \text{N}(\boldsymbol{\mu}_1 + \cdots + \boldsymbol{\mu}_n,\ \boldsymbol{\Sigma}_1 + \cdots + \boldsymbol{\Sigma}_n)にしたがう。〔総和★〕解説
  •  \boldsymbol{X} \text{N}(\boldsymbol{\mu},\ \boldsymbol{\Sigma})にしたがうとき、 \boldsymbol{X}の成分を並べ替えた \boldsymbol{X}'は、 \boldsymbol{\mu}の成分を同様に並べ替えたものを \boldsymbol{\mu}' \boldsymbol{\Sigma}の行・列を同様に並べ替えたものを \boldsymbol{\Sigma}'で表すと、 \text{N}(\boldsymbol{\mu}',\ \boldsymbol{\Sigma}')にしたがう。〔成分の並べ替え★〕
  •  \boldsymbol{X} \text{N}(\boldsymbol{\mu}_\boldsymbol{X},\ \boldsymbol{\Sigma}_\boldsymbol{X})に、 \boldsymbol{Y} \text{N}(\boldsymbol{\mu}_\boldsymbol{Y},\ \boldsymbol{\Sigma}_\boldsymbol{Y})に独立にしたがうとき、 \boldsymbol{X} \boldsymbol{Y}を連結した (\boldsymbol{X}, \boldsymbol{Y})は、 \boldsymbol{\mu}_\boldsymbol{X} \boldsymbol{\mu}_\boldsymbol{Y}を連結したものを \boldsymbol{\mu}_{(\boldsymbol{X}, \boldsymbol{Y})} \boldsymbol{\Sigma}_\boldsymbol{X} \boldsymbol{\Sigma}_\boldsymbol{Y}の直和行列すなわち \left[\begin{smallmatrix}\boldsymbol{\Sigma}_\boldsymbol{X} & \mathbf{O} \\ \mathbf{O} & \boldsymbol{\Sigma}_\boldsymbol{Y}\end{smallmatrix}\right] \boldsymbol{\Sigma}_{(\boldsymbol{X}, \boldsymbol{Y})}で表すと、 \text{N}(\boldsymbol{\mu}_{(\boldsymbol{X}, \boldsymbol{Y})},\ \boldsymbol{\Sigma}_{(\boldsymbol{X}, \boldsymbol{Y})})にしたがう。〔連結★〕5
  •  \boldsymbol{X} \text{N}(\boldsymbol{\mu},\ \boldsymbol{\Sigma})にしたがうとき、 \boldsymbol{b} \mathbf{0}でない \mathbf{R}^mベクトルとして、 \boldsymbol{b}\boldsymbol{X}^\mathrm{T} \text{N}(\mu = \boldsymbol{b}\boldsymbol{\mu}^\mathrm{T},\ \sigma^2 = \boldsymbol{b}\boldsymbol{\Sigma}\boldsymbol{b}^\mathrm{T})にしたがう。§多変量正規分布#アフィン変換の一例。〔成分の線形和〕
  •  \boldsymbol{X} \text{N}(\boldsymbol{\mu},\ \boldsymbol{\Sigma})にしたがうとき、 D^2 = (\boldsymbol{X} - \boldsymbol{\mu})^\mathrm{T}\,\boldsymbol{\Sigma}^{-1}\,(\boldsymbol{X} - \boldsymbol{\mu}) \chi^2(\nu = m)にしたがう。〔Mahalanobis平方距離〕6
     D^2の正の平方根 \boldsymbol{\mu}からのMahalanobis距離である。

標準多変量正規分布

  •  \boldsymbol{X} \text{N}(\mathbf{0},\ \mathbf{I}_m)にしたがうとき、 \mathbf{B} m次の直交行列として、 \mathbf{B}\boldsymbol{X}^\mathrm{T} \text{N}(\mathbf{0},\ \mathbf{I}_m)にしたがう。〔直交変換★〕
    この変換は分布を保つ。標準多変量正規分布が等方的で球対称なことを意味する。
  •  \boldsymbol{X} \text{N}(\mathbf{0},\ \mathbf{I}_m)にしたがうとき、 \lVert\boldsymbol{X}\rVert \boldsymbol{X}ユークリッド長さとすると、 \frac{\boldsymbol{X}}{\lVert\boldsymbol{X}\rVert}は単位球面上の一様分布にしたがう。〔正規化〕

ディリクレ分布

  •  \boldsymbol{X} \text{Dirichlet}(\boldsymbol{\alpha})にしたがうとき、 \boldsymbol{X}の成分を並べ替えた \boldsymbol{X}'は、 \boldsymbol{\alpha}の成分を同様に並べ替えたものを \boldsymbol{\alpha}'で表すと、 \text{Dirichlet}(\boldsymbol{\alpha}')にしたがう。〔成分の並べ替え★〕

多項分布

  •  \boldsymbol{X}_1, \ldots, \boldsymbol{X}_nがそれぞれ \text{Mult}(n_i,\ \boldsymbol{p})に独立にしたがうとき、 \sum_i \boldsymbol{X}_i \text{Mult}(n_1 + \cdots + n_n,\ \boldsymbol{p})にしたがう。極限の場合§多項分布#多変量正規近似も参照。〔総和★〕
  •  \boldsymbol{X} \text{Mult}(n,\ \boldsymbol{p})にしたがうとき、 \boldsymbol{X}の成分を並べ替えた \boldsymbol{X}'は、 \boldsymbol{p}の成分を同様に並べ替えたものを \boldsymbol{p}'で表すと、 \text{Mult}(n,\ \boldsymbol{p}')にしたがう。〔成分の並べ替え★〕

カテゴリ分布

  •  \boldsymbol{X}_1, \ldots, \boldsymbol{X}_nが同一の \text{Cat}(\boldsymbol{p})に独立にしたがうとき、 \sum_i \boldsymbol{X}_i \text{Mult}(n,\ \boldsymbol{p})にしたがう。極限の場合§多項分布#多変量正規近似も参照。〔総和〕
  •  \boldsymbol{X} \text{Cat}(\boldsymbol{p})にしたがうとき、 \boldsymbol{X}の成分を並べ替えた \boldsymbol{X}'は、 \boldsymbol{p}の成分を同様に並べ替えたものを \boldsymbol{p}'で表すと、 \text{Cat}(\boldsymbol{p}')にしたがう。〔成分の並べ替え★〕

多変量超幾何分布

  •  \boldsymbol{X} \text{Hyper}(n,\ N,\ \boldsymbol{K})にしたがうとき、 \boldsymbol{K} - \boldsymbol{X} \text{Hyper}(N - n,\ N,\ \boldsymbol{K})にしたがう。〔相補変換★〕解説
  •  \boldsymbol{X} \text{Hyper}(n,\ N,\ \boldsymbol{K})にしたがうとき、 \boldsymbol{X}の成分を並べ替えた \boldsymbol{X}'は、 \boldsymbol{K}の成分を同様に並べ替えたものを \boldsymbol{K}'で表すと、 \text{Hyper}(n,\ N,\ \boldsymbol{K}')にしたがう。〔成分の並べ替え★〕



  1. Kyle Siegrist. "The Exponential Distribution". Random.
  2. "Box–Muller transform". Wikipedia.
  3. Arnold et al. A First Course in Order Statistics. SIAM, 2008.
  4. "Inverse transform sampling". Wikipedia.
  5. Kyle Siegrist. "The Multivariate Normal Distribution". Random.
  6. Joram Soch. "Relationship between multivariate normal distribution and chi-squared distribution". The Book of Statistical Proofs.